目の前で垂らした糸が、つつつ〜っと動く訳ですよ。そりゃもう完全にアタリなんですが、そこからどうしていいのか判らないのです。小さく引いても大きく引いても掛からない。勢いをつけて引っこ抜いてもダメ。でも放っておけば糸はずっと動き続けるのです。つつつ〜っと。しかも何度も何度も。何度も何度も。ずーっと。
間違いなくこいつは7、8cmのビチビチくんです。主にヤマメですが、釣り上げた時の糸の先で暴れる様が大きな魚体よりも早くて激しいので、その動きから「ビチビチくん」と呼んでいます。
ともかく、魚のいそうな所に糸を投げ込むと、大概このビチビチくんが食いついてきます。果敢です。そんで糸がかわいく動いていく訳です。しかし前述の通り、結構いろいろと試してみたのですが何をやっても上手く上がってくれません。水面近くの水中で翻っていく光る物体を見たり、釣られて空中まで出てきても途中で落ちちゃったり、つまり針が上手く掛かっていないのですが、上手く掛けることも出来ませんでした。
こうなるともう、どうして良いか判りません。為す術なし。もとよりビチビチくんを大量に釣って喜ぶつもりもありませんし、終いには「かわいいなぁ」と一人でニヤニヤしながら、つつつと動く糸を眺めてぼーっとしておりました。あぁ、釣りって良いなぁ。
GW中の釣行、鶴川も南秋川もそうだったのですが、休み中で人が多かったのか実は魚なんていないのか、釣果的には散々だった訳です。特に秋川は水も綺麗なので魚影が多く見られます。小さいのはビチビチくんから、大きいのは15cmくらいの奴らがちょっとした群を作っていたりする様も見られたりしたのですが、そこにエサを流してみても大きい魚影はびくともしませんでした。結構いじめられていたのかもしれません。
そんな有様だったので、遊んでくれたのはビチビチくんだけ。ひょっとしたら釣れないこちらを気遣ってくれていたのかもしれません。でも、沢山遊んでもらったので寂しくなんかありませんでしたよ。
とはいえ、こちらも釣りに行っている身。釣らないわけにもいかないので、ビチビチくんだと判っていても釣ってしまっております。各川で6尾ずつ。秋川で15cmが1尾だけ釣れたのがせめてもの救いです。
一人でニヤニヤしていたはずだったのに、ヒレピン子にしっかり見られていました。恥ずかしい。
