仕事帰りに新宿駅西口イベント広場の横を通りました。
そこでは大抵何か物販的なイベントをやっておりまして、今日もご多分に漏れず服やら鞄やら靴やらの店がたくさん軒を並べていたのです。その手のイベントはたまに掘り出し物的なものに出会えたりもするので、全く以て嫌いではありません。急ぐ用事もなかったので足が向きました。
どうやら今週は「匠の会職人市」というイベントだったようで、その手の店がたくさん並んでいました。当てがあった訳でもないので、それらの店の間をぶらぶらと歩いていると、ふと目に止まったのが立て掛けられて並んでいた竹の棒たちです。「こ、これはまさか!?」と思い、近付いてよくよく見てみれば、それは紛う事無き日本の伝統工芸、和竿だったのでありました。こんな所で和竿にお目にかかるとは。
いろいろな種類の竿が何本も並んでいましたが、どれ一つとして同じものが無く、それぞれに個性を持った竹の竿たち。華美な装飾はありませんが、それ自体が美しいと思える、まさに工芸品でした。
竿の種類もへら竿だのフライ竿だの何だのいろいろとありましたが、その中にあったテンカラ竿に気が付いてしまいました。「はぁー。竹竿でテンカラかぁ。」と変な関心をしつつ、どんなもんかと眺めていると、よほど物欲しそうな顔をしてしまっていたのでしょう。お店の方が話しかけてきてくださいました。「テンカラやられるんですか?」
「せっかくだから、良かったら伸ばして振ってみてくださいよ。」
実物を間近でマジマジと見るのは初めてでしたが、一度くらい使ってみたい、いや、取り敢えず触るだけでも触ってみたいとは前々から思っていたのです。それはもう願ったり叶ったり、嬉しさ半分申し訳なさ半分で、継いで頂いたテンカラ竿を恐る恐る振らせて頂きました。
何ていうか、硬い。でも、嫌な硬さじゃないんです。普段エサ釣りで使っているのは超硬調の竿なので硬い竿は大好物なんですが、それとは硬さの種類が違うように思えました。硬いというか、芯が通った感じ。そしてその硬さが嫌じゃない。むしろ好き。
お店の方が言われるには、しっかりしているのでピンポイントを狙いやすいとのこと。それに、ちょっとしたアタリなどの感触はダイレクトに手に伝わってくるそうですよ。初心者ならむしろ上達が早くなるかもなどと魔法の呪文のようなお言葉も頂きました。金持ってたら買ってたよ。
他にヤマメ竿も振らせて頂きました。ヤマメ竿くらいの長い竿になると少々重さが気になりましたが、竹であることを考えればそれは致し方の無いこと。普段から性能よりも見た目が気に入るかどうかで竿を選んでいる自分にとって、そんなことは全く気になりません。
今回は製造直販なので市場価格よりは安いということでした。テンカラ竿は3万円から、ヤマメ竿は2万円から。10万もする竿があると思えば、竿として突出した値段ではありませんが。これは本当に迷う。
お店の方にはいろいろと丁寧なご説明なども頂き、大変良くして頂きました。お店は和竿で有名な埼玉県川口市(←全く知りませんでした)の「山野和竿店」。そちらの伝統工芸士(←カッコいい)山野さんは良い人でした。別れ際に「日曜日(6月23日)までやってますからね」と言われたのは、結構脈ありと見られたか。
和竿が好きな人、気になる人は、行ってみてはいかがでしょう。
私は行っちゃうかもしれません。