何はなくともロッドとリール

賢い渓魚を疑似餌で欺くことができた時の“してやったり感”は、なかなかのものであります。出来が悪くとも、それが自分で巻いた毛鉤だったら尚さらのこと。テンカラに挑んだ昨シーズン、そんな悦楽(深淵?)の“さわり”をちょっとだけ味わうことができました。そのままテンカラの道を精進すればよいものの、元来からの飽きっぽさ?も手伝って、シーズンが終わる頃には「次はフライだ!」なんて考えが浮かんでいたのであります。

実は、今をさること30年近く前、まだ高校生だった頃にちょっとだけフライで遊んだことがあるんですよ。北海道に住んでいた当時、家の隣に山遊びや川遊びの好きなオジサンがおりまして、L.L.Beanのロッドなんかを数本持っていたのであります。誘われるままに一緒に釣りに行き、見よう見まねでトライしたのが最初だったかな。古びたラインの先に間に合わせの1号ナイロン糸をつなぎ、形の崩れかけたエルクヘアカディスを結んで挑むのです。そんな大雑把なシステムでも、当時の北海道では釣れたのでありました。例えば沙流川(さるがわ)支流の千呂露(ちろろ)川やウェンザル川。ラインで水面を叩こうが、強烈なドラグがかかろうが何のそので、ヤマベ(ヤマメの方言)やオショロコマがそこそこに遊んでくれたものでした。今にして思えば、天国のような川だったなぁ。

そんなことを思い出しつつ、道具を揃え始めたのは昨年の11月くらいのこと。何はなくともロッドとリール。本やネットを調べながら、付け焼き刃の知識をかき集めてみる…。自分がよく行く渓流部を想定するなら、ロッドは7~8フィートで、ライン指定が3番もしくは4番あたりが扱いやすそうだ。で、使用ラインをバランスよく収納できるリールを選べばよいと。ふむふむ、よーし。

で、何軒かのショップに足を運んでみたところ、そのバリエーションの多さにビックリです。選択肢が限られていた昔(相当前だけどね)とは大違い。いったい、どれをチョイスしたらよいのやら…。ともかく、ロッドのアクションとかリールの精度とかを吟味するだけの経験値は持ち合わせておりません。とりあえずは店頭で気になったいくつかの製品を記憶にとどめ、再度、カタログやネットの情報を参考にしながら、最終選考に臨んだのでした。ま、どれにしようか悩んでいる時が一番楽しいんですけどね。

EUFLEXシリーズの「J-Stream 793-4」

そんなこんな日々を重ねて、やっと決まりました。ロッドはティムコが展開するEUFLEXシリーズの「J-Stream 793-4」。型番から推察できるように、7フィート9インチで3番指定の4ピースロッドです。ミーハー魂がうずき海外製品にも目がいったのですが、サイト上で<その名が示すとおり日本の渓流で、日本の美しい渓魚を釣る。そのためのロッドスペック、ロッドアクションを具体化しました>なんて説明文を読むと、「やっぱりそうだよなぁ、日本で釣るなら国産品がいいに違いない」という気がしたのです。開発陣が日本の川で実釣テストを繰り返している訳ですから、入門者が最初の1本に選ぶには悪くないチョイスかと。この点では、シマノとも迷いました。餌釣りやテンカラでは同社のロッドが気に入っていており、FF界で活躍する里見栄正氏がプロデュースに携わっていることからも「FREESTONE PROUDACE」は有力候補に感じました。──結局は、たまには別メーカーの製品を使ってみるかという軽い気持ちと、「J-Stream」というネーミングが気に入って、手始めのロッドとして落ち着いたのでありました。

ORACLE CLASSICシリーズの「BABY」

気持ちがティムコに傾いた延長で、リールも同社の「ORACLE CLASSIC」シリーズの「BABY」に決定しました。スプール部のパーフォレーション(側面の穴)が一連タイプのやつ。外見については、最初からクラシカルなものと決めていたんです。ラージアーバータイプでよく見られる現代的なデザインのものもいいのですが、反面、飽きが来るのも早いかなぁと。ちなみにこのリール、表面処理はアルマイトでなく塗装なんだとか。<経年変化による「ヤレ感」がなんとも言えない雰囲気を出し飽きずに長く使える>というカタログのメッセージは、私のようなタイプにはうまく刺さりました。

さて現実はというと、道具は揃えど腕はなし。最初の苦戦ぶりは別エントリーで書いた通りで、まだネットに収まった魚はおりません…。震災でしばしのブランクがあいたけど、そろそろ次の週末あたりは川に向かいたいところ。今の所、土曜あたりに都合がつきそうなのですが、そんな時に限って天気予報が芳しくない…。てるてる坊主でも作ろうかしら。ん、ボウズだと? (by ドングリ)

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