都留市近辺に釣りに行く時は、必ず晩メシを食べに立ち寄るのが「ふじや」です。こちらを見つけたのはほんの偶然でしたが、お邪魔するようになってからもう随分経ちました。今ではある意味釣りよりも重要なのがこの「ふじや」での晩メシなのです。重要なので、「ふじや」の表記は「」つきでお送りいたします。
「ふじや」は表向きはうどん・そばの店で、店先にはうどんを打つ部屋なぞもちゃんとあるのですが、丼ものや定食なども豊富に揃えています。ご近所の憩いの場でもあるようで、晩メシ時には近隣のオジサン達が飲み会を開催していることも。カウンター、テーブル、お座敷と、席数も揃っています。
店主のおじさんは控え目な感じのする人当たりの良さそうな優しい笑顔の素敵な方です。たまにしか伺わない我々のこともちゃんと憶えてくださっていて、いつも大層良くしていただいております。
そして、この店での我々のお目当てが他ならぬ「とんかつ定食」なのです。全員で同じとんかつ定食を注文します。
確かに普段とんかつを食べる機会は（外食も含めて）そうそう頻繁にはありませんし、ましてや美味しいとんかつを求めて彷徨い歩くなんてこともしていませんが、「ここのとんかつ以上に美味いとんかつを食べたことは無い」というのが我々の共通認識です。「ふじや」のとんかつ以上に美味しいものが無いので、つまり「ふじや」のとんかつは日本一なのです。
一見何の変哲もない「ただのとんかつ定食」に見えますが、さにあらず。食べ応えバッチリの肉のボリューム、苦もなく噛み切れる肉の柔らかさ、迸る肉汁。特筆すべきはカツの衣のサクサクっとした食感。衣自体の最適な感じの厚みともあいまって、実に心地良い歯応えを味わえます。とんかつに付けるソースも小鉢で出てきますが、これがまたちょっとサッパリとした果実系の隠し味の風味で、上手くとんかつの油っぽさを消してくれています。さらに、実は侮れないのがご飯。ご飯そのものも普通においしいのですが、器の見た目の小ささからは想像できないほどの量が入っているのです。味良しボリューム良しで、言うことは全くありません。とんかつの最後の一切れを口に入れた時の、美味しいご馳走を食べ終える幸せな気持ちと「これで終わりなのね」という残念な気持ちの入り混じった至福のひと時！ もう「ふじや」以外ではとんかつを食べる気にはなれません。これだけ褒めてもまだ褒め足りない。
「次回こそは違うメニューを食べてみよう」と思うことも多々あるのですが、頼んでしまうのは結局いつも「とんかつ定食」なのです。
店主の名誉のために言っておきますが、とんかつ以外のメニューも勿論美味しいものばかりです。中でもかき揚げは単品ででも頼む価値があることをお知らせしておきます。
山梨の一地方のお店なのでwebサイトや食べログのレビューもありませんが、お近くにお寄りの際は是非。