お昼を食べるとき、ドングリ隊長が野鳥か何かを見たと言うのです。
トサカがあったからニワトリかもと言うのです。
この日の午後の釣りはあいにく雨に降られましたが、久しぶりに濁り水の恩恵に預かることができた私とヒレピン子のエサ釣り組は、雨の中足取りも軽くみんなとの集合場所のログハウスに帰ってきたところ、先に戻っていた隊長とブッダがちょっと嬉しそうに言いました。
「ウサギがいるんだよ」
ほええ。こんな所にそんなものがいるんだねぇと思いつつ、まだ雨が結構降っているためかそこにはウサギの姿は無く。
「そういえば以前近くの大沢で隊長が黒ウサギに接触したことがあったっけ。近いからこの辺りにもいるのかなぁ。またウサギ見られなかったのかぁ。隊長とブッダ、羨ましいなぁ。」などと少し寂しい気持ちでいそいそと片付けを始めたのですが、ブッダが「床下にいるみたい」と。
ちょうど雨もいくらか小降りになってきた頃に、ウサギさんが床下からヒョッコリ出てきたではありませんか! しかも2羽も!
うっひゃー!
ありきたりの言葉ですがカワイイ! カワイイぞぉ!
ログハウスの床下から現れた彼らは小雨の中、辺りの草をハムハムと食べ始めたではありませんか。黒い子が周りを気にしながら口をモグモグするその様は、まさにウサギ。
しかも、その様子にしばし見とれている間に、気付けばログハウスの周りには他にもウサギたちがワラワラと! 中には人に慣れているのか、こちらに近付いてくるウサギまで! ここは天国か⁉︎
釣りでいろいろと野生動物を見てきましたが、こんなに幸せだったことはありませんでした。連れて帰りたい。
4人とも今まで見たことのないような締まりのない顔になりつつ、もうそこからはみんなそれぞれのカメラで大撮影大会です。雨で早目に釣りを終えたのですが、その後いつもの「ふじや」に辿り着いたのは結局普段と変わらない時間になっておりました。
釣りに行ったときは後日メンバー同志で写真をシェアするのですが、この日の写真は各人膨大な量になっていたことは言うまでもありません。
しかし、帰りの車内でふと気付いたのです。
「隊長、ニワトリって言ったよね?」