ううむ。まずい展開だなぁ…。入渓してすぐに先行者に遭遇したり、さらには話に捕まって20~30分ほどロスしたりと、自分のペースをつかめないままの釣りが続いておりました。9月17日の土曜日に、メンバー3人で日川に出かけた時のことです。午前の部は、一度だけアワセ切れがあったぐらいで、魚の反応をろくに感じられぬままタイムアップとなりました。前半戦は“ボ”…先行きが案じられます。
90分ほどランチ休息をとって気分転換。14時からの午後の部は、人っ気のなさそうな場所を吟味しなきゃ…。クルマを駐めた場所から300mほど下った地点に入り、ゆっくりと釣り上がることにしました。どちらかというと変化に乏しい渓相で、小場所を拾っていくような釣りになります。砂で埋まってしまった淵が目立ち、いつも魚影があった好ポイントも、すっかり様相を変えてしまっていたことには少々がっかり。
最初の1匹が出たのは、落ち込みに続く畳一畳ほどの淀んだスペースの肩口でした。14番のEHCに食いついたのは16cmほどのチビアマゴ。これでボウズは免れた…。サイズはともかく、これで肩の力が抜けるってもんです。そこから先は、しばらく陰鬱な雰囲気が続くエリア。谷が深いのに加えて、木々の葉も生い茂っており、陽が差し込まないのです。偏光グラスを外したくなりますが、乱視用の度入り故にそうともいきません。少しでも視認性がよいフライが必要となり、蛍光オレンジのポストがついたパラシュートアントに交換です。
右岸(上流に向かって左側)が岩壁になっているトロ場にやってきました。岩盤沿いの筋がいかにも怪しい…いつもそう感じながら実績が伴わないポイントでもあります。足運びが楽な左岸を進み、無理ある逆サイド(オフショルダー)キャストで水面を荒らすといった失敗をやらかしがちなことを思い出しました。まともな釣りをする前に場所を台無しにしちゃうのです。ここは、やや下流に戻って対岸に渡り、自分にとってコントロールしやすいオーバーヘッドキャストで遠目から狙ってみるとしますか──粗忽者の私でも多少は学習能力があるのです。
周囲にラインが絡まる障害物がないことを確認した上で慎重にキャストします。一投目…ちょっと岩盤に近すぎたか…何事も起きずに肩口に差し掛かったところで水中にギラっと光る魚体が見えました。いるっ! 不信感を与えてしまったかもしれないので、ちょっと休ませた方がいいかな。5分は待ちたい所ですが、こんな時は30秒さえもとても長く感じてしまいます。ようやく3分が経過したところで我慢できず再トライ。狙いの筋にそ~っとフライを落とすと、すぐに飛沫が上がりました。首尾よくフッキング! ネットに収まったのは22cmの朱点が薄いアマゴでありました。その場の雰囲気といい、出方といい、もう少し良型でもよさそうなものだけど…。まぁ、贅沢は言いますまい。
ポイントを絞り込み、イメージ通りのキャストができた先で釣果に恵まれると、それはそれは嬉しいもんです。思惑通りという展開がまだまだ乏しい自分にとって、1日に1回でも快心のヒットあると、それだけで後の一週間をニタニタと過ごせるのは初心者の特権とも言えるでしょう。その後もボチボチと釣れたけれど、やはり、この1匹が強く印象に残った日川釣行。どんなシチュエーションでもラインを自由にコントロールできる腕を磨くことが本質的課題ではありますが、そのハードルはまだまだ高いんだよなぁ。