先の土曜日に鹿留川へ行ってきました。メンバーとの予定は噛み合わず、今回も単独での出撃。珍しく終日フリーの一日ではありましたが、直前まで仕事に追われて睡眠不足だったためか、連日の猛暑でバテ気味だったためか、どうにも体のキレが悪く、無理せぬ範囲で早めの出発&早めの納竿を心がけての釣行でした。
ということで早朝5時半ころに現地入りです。工事による林道の通行規制を懸念していたけれど…杞憂に終わりました。治山工事の一環なのか、奥で伐採した木を林道まで運ぶ架線集材装置(ワイヤーを張って簡易的なロープウェイのような機材で運搬するやつですね…)が大々的に組まれた個所があったものの、一般のクルマが通行できるよう配慮されていました(丁寧にも防護ネットも設けられていました)。あと、法面工事の準備も進められているようですが、とりあえずこの日は問題なし。
天岩橋のあたりには先行者さんの姿があったので、距離をおいて二段堰堤のさらに先までクルマを走らせて路肩スペースに駐車。今日はいつもより上流域に竿を出してみようっと。木の枝が張り出した個所も多いので、7フィートジャストのロッドで釣り支度を整えます。さて、どんなもんでしょう。
──毎年この時期、アユの土用隠れかのように、魚の活性が終日おしなべて低いという経験をすることがあり、まさにそんな展開が続きました。ヤマメの姿はしばしば確認できるのですが、底に沈みがちでドライフライにはなかなか口を使わないのです。流量が少ないことに追い討ちをかけるような急な水温上昇に体をついていかず渓魚も夏バテなんじゃなかろうか? そんな勘ぐりもしたくなるほどです。
いつもは適度に遊んでくれる6寸ヤマメすらもなかなか顔を出さず、じれったいのなんの。11時くらいまでの間に4匹を釣り上げるのがやっとでした。それから正午にかけて、小一時間のにわか雨があったので“雨後の荒食い”ってなことがないかなあと期待しましたが、そうそううまい話はありません。少しは活性が上がったようなんだけど、長続きはせずに、しめやかムードへと戻ってしまいました。
いつもは釣りに夢中になるあまり周囲の音など聞こえなくなるのですが、この日は蝉の声がけたたましく感じられました。それでけ集中力を欠いていたのかもしれません。惰性でロッドを振り続けていた矢先に遭遇した、鹿の親子も大きなタヌキも、「今日はこれ以上頑張っても心躍るようなことはないよ」と告げていたような…。潔く諦めるとしますか。さして記憶に残るようなシーンに恵まれなかったけれど、再び雷がゴロゴロと鳴り出した14時に納竿することとなりました。
渓魚がある程度シャッフルされるようなまとまった雨が降らないとダメかなぁ。春先からの慢性的な渇水状態でお魚さんたちにもさぞかし閉塞感が漂っていることでしょう。乾いて軋み音を発し始めた歯車に油をさすかのような慈雨によって森と渓が深い息を取り戻す──。オンディーヌの計らいを待つばかりです。