文化の日をからめた3連休、関東甲信越は広い範囲で爽やかな秋晴れが期待できるでしょう──。各局のお天気キャスターがにこやかに伝えていました。
そんな時に限って野暮用が立て込み鬱屈していたら、土曜の予定が先送りになって終日フリーという嬉しい展開となったのです。これはもう管釣りに出かけるしかありません。
前々から行ってみたいと思っていた「うらたんざわ渓流釣場」が最有力候補です。金曜という直前のタイミングでいつものメンバーに打診してみたら、ジーザスとヒレピン子から色よい返事あり。ただし、早朝からは厳しいとのことだったので、午後半日で遊んでくることとなりました。
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当日、現地に到着したのは12時くらいだったかな。受付小屋の付近にはクルマがずらりと停まっており、目の前の「フライ・テンカラ&ルアーエリア」では、すでに多くの釣り人がロッドを振っておりました。
午後券を買い求めながら管理人さんに話を伺うと、大きく3つに分けたエリアのうち「ヤマメクラシックⅡ」がアングラー密度が低く、自然の景観を活かしている分だけ釣趣も勝るのでお勧めとのこと。その言葉に従って、まずは上流域に向かうことにしました。
さてさて、お魚さん達の活性はどんなもんでしょう。まずはEHCを結んでドライで様子を伺ってみることにします。──うまく流せた時にフライ直下まで浮いてくる姿は確認できますが、そう簡単には口を使ってくれません。さすがに学習しておりますなぁ。とはいえ、沈みっ放しという状況でもないので脈はありそう。
釣れそうで釣れないという、もどかしい思いをしながら100mほど行った先。右岸寄りの小場所を流してみたら、ようやくクリーンヒットしました。久しぶりに強い引きを味わせてくれたのは27センチほどのニジマス。最初の一匹が出て、まずは安堵というところです。
さらに50mほど行った渕尻では、小さいながらヤマメがネットに収まりました。この調子でいけば、最後までドライで適度に遊べるんじゃなかろうか…と高をくくったのが良くなかったのか、後が続かずパッタリと反応が止まってしまいました。うーむ。
見通せる範囲の上流側に少なくとも2人のフライマンが粘っており、ズカズカと脇を通るのも気が引けたので、私も目前の深みでしばし持久戦に。しかし、しつこくドライを流し続けて警戒心を煽ってしまったらしく、魚たちは軒並み底へと沈んでしまったようです。
沈黙の時間に耐えかねてニンフに手が伸びました。上流エリアはインジケーター使用禁止というレギュレーションのようなので、目視でターゲットを定めて鼻先にフライを送り込み、魚影の動きやラインの引き込みといったシグナルを頼りにアワセを入れることになります。
かつて親しんだテンカラの感覚を思い出しながら水中深くを探っていると、やがてガツンと来ました。上流へ下流へと力強いファイトで楽しませてくれたのは32センチの丸々と太ったニジマスでした。こりゃ楽しいっす。
低層にはまだ他にも良型の姿があったので、ここはサイトニンフィングの鍛錬の場として集中することにしようっと。バリエーション乏しいニンフボックスの弾を取っ替え引っ替えしながら悪戦苦闘。いたずらに時間が過ぎていき、50mほどの範囲で何とか3匹追加した頃には、周囲はずいぶんと暗くなっておりました。16時前だというのに、山間部の夕暮れは早いですな。
ここでジーザスとヒレピン子が上流から戻ってきたので、合流して受付小屋方面へと移動することにしました。混雑していたフライ・テンカラ&ルアーエリアでは、薄暮に急かされるように引き上げる釣り人の姿が目立ちます。我々もそろそろ納竿かと考えていたのですが、升状に仕切られた区画の1つがまるまる空いたので、最後にひと遊びすることにして流れの傍らに立ちました。
それまで出番の無かった、9番という大きめのフックに巻いたソフトハックル系のフライを結んでみます。水面直下〜中層を流しつつアクションで誘いを入れると、すぐにフッキング! ここは魚影が濃い分、猜疑心よりも好奇心が勝る個体がまだ一定の割合で残っているのでしょう。渋かった上流域とは対象的に、次々にヒットして引き味を堪能させてくれます。
最後の最後、ちょっとした確変モードで活気付いたのも束の間、いよいよもって陽が落ちてきたのを機に川を上ることにしました。紅葉が始まりかけた渓でのんびり気ままにキャストするのは管釣りならではの愉しみ。ドライは芳しくなかったけど、水中戦の程よいトレーニングになったかな。課題に残している上野村でのハコスチリベンジの前哨戦として、まずまずの半日となったのでした。