私の場合、下ろしたての釣り道具がピカピカなのも束の間、すぐにあちこち傷だらけになってしまいます。ロッドならばグリップエンドの金属パーツにおびただしい置き傷が付くし、リール も外周にはじまって塗装剥げや細かい凸凹が増すばかり。
飾り物じゃあるまいし、道具は使ってなんぼ。愛着もって酷使してこそ価値がある。すべては“味”のうち──と割り切っているのですが、少しばかり劣化が早いような…。とどのつまり、私の扱いがあまりにも雑なんじゃないかと思い至るのです。
例えば流れの脇でフライやティペットを結び替える場面。エキスパートの方々を観察すると、ロッドを小脇に挟んでスマートに事に当たっていらっしゃる。一連の動きは、幾度となく川に立った経験の中で身に付き洗練されてきた所作なのでしょう。
私なんぞ同じことやろうとしても、手先に意識が向くほど脇が甘くなり、やがてティップが水面に刺さってロッドを落とすなんてことが起こりがち。最初からロッドを置いておいた方が楽だとばかりに、足元にいい加減に放ったりするから傷みが早いのかもしれません。
今年もまた新しいロッドやリールを手に入れたことだし、もう少し気を遣ってみようかな…。という思いで、5年ほど前から気になっていた小道具を買ってみました。Smith Creekの「Rod Clip(ロッドクリップ)」がそれ。サンスイ渋谷店に立ち寄った時に何色かあったのでオレンジをチョイスしました。
本体はスレッドボビンを一回り大きくしたぐらいのサイズで、中心軸方向から見た断面はパックマンのような形をしております。外側は金属カバーで中身は適度な硬さのフォーム材。開口部からグイッとロッドを押し込むと、しっかりホールドしてくれます。
10センチほどの可動域を持ったピンオンリールが付属していて、ベストなんかにぶら下げておけば、必要に応じてロッドを一時的に固定しておけるって仕組み。両手がフリーになるので、細かい作業にも集中できそうです。まだ実際には使っていないけれど、置き傷(落とし傷?)の抑制には一役かってくれるんじゃないかな。
Smith Creekはニュージーランド発のフィッシングアクセサリーメーカーだそうで、他にも色々とラインナップがあります。デザインやクオリティにこだわりが感じられ、ちょっとお高いながらも“これ良さげだから買おうかな”という気持ちをくすぐってくるんですよね。
実は、先のロッドクリップを買った際に、同じくSmith Creekの「Spent Line Wrangler(スペントラインラングラー)」もゲットしてしまいました。こちらは、釣りの現場で用済みになったティペットやリーダーなどをグルグルと巻き止めておくものです。
これまで、そうしたゴミの類はベストのポケットに適当に突っ込んでお茶を濁していたのですが、糸端が勝手に飛び出して見苦しかったり、知らぬ間に河原に落としてしまったりと、始末の悪い思いをしていたのです。ティペットの結び目をカットする時に出る小さものは無理だけど、長めのゴミはこいつでスマートに持ち帰ろうっと。ちなみに、こちらもオレンジ色にしました。
色々なアクセサリーを追加する度にベストは重くなるし、見た目も中身もゴチャゴチャするのは分かっているんだけど、釣り人のちょっとした悩みを解消してくれる心憎い品を見つけると、つい買っちゃうのです。そしてまた、“オレンジ色の憎いヤツ”が2つ足されることとなりました。