渓の吸血鬼、夏の3本勝負

点在する好ポイント、林道からのアクセスの良さ、これまでの釣果(苦い思い出はすぐ忘れる性格です)…。いろいろな面で、鹿留川はお気に入りの渓流の1つです。

強いて難点を挙げるとしたら、「ブユ」の密度が濃いということでしょうか。これからのシーズン、特に朝晩は猛威を振るいます。

ふと違和感を感じて目をやると、皮膚からタラ~っと少量の血が流れ出ている…。これがブユに刺された時の初期症状です。刺すと言うよりも噛み切るって感じかな。ややもすると強烈な痒みに襲われ、どんどん腫れ上がっていきます。で、その後は少なくとも1週間は腫れた状態が継続。患部は熱を持ち、周辺の関節を動かすと痛みを感じるほどで、それはそれはヒドいもんです。

いつだったか、くるぶし付近を2カ所やられた時(現地で着替えているときに刺された)には10日間近く、それが足首とは思えないほどパンパンになりました。指を刺された後、手全体がキャッチャーミットみたくなったこともあったなぁ。

たかだか体長3~5mmと、ショウジョウバエのようなサイズなのに、その毒素力たるや恐るべし。その一方で、卵~蛹の期間を水中で過ごすブユは、水質汚染にはからきし弱いらしい。つまり、それが生息しているということは、清らかな流れであることの証。できれば関わりたくない存在ですが、川の健康度を知るバロメーターとしては注目すべき種でもあるようです。

“渓の吸血鬼”が出没するエリアといえど、そこが魅力的な川であれば、やはり釣りに行きたいもの。痒みや痛み、何度も散々な目に遭った結果として、いくつかのグッズを必ず携行するようになりました。ブユ対策“3種の神器”と言うのは、いささか大袈裟ではありますが、以下にご紹介しましょう。

【ハッカスプレー】
どうやらブユはハッカ油の成分が好きではないらしい。そこで小型アトマイザーに入れたハッカ油を、首周りや腕など肌を露出させる部位を中心にスプレーしておくことで、ある程度の防ブユ効果が期待できます。最近はアウトドアショップの店頭にも並ぶようになったので、入手は容易になりました。ただし、噴霧したハッカが眼に入ろうものなら相当に痛いです。要注意。

【ポイズンリムーバー】
もし刺されてしまったら、一刻も早く処置するのが症状を軽く済ませる鉄則です。そこで欠かせないのがポイズンリムーバー。文字通り、傷口にあてがって周辺に滞留する毒素を吸い出すための専用器具です。やや原始的な気もしますが、効果は確かに認められます。刺されたのに気が付くのが遅いと、これを使っても手遅れかも。ドクターヘッセル(デンマーク)製の「Insect Poison Remover」を愛用中。

【虫さされ軟膏】
毒素を吸い出した後は、痒みや腫れを抑制するために虫さされ軟膏を塗布します。各種の製品を試してみましたが、市販品の中で比較的効き目がよいのが池田模範堂の「ムヒアルファEX」。効果はありますが、高価でもあります。ま、あの苦しみを味わうぐらいなら1本常備しておく価値は十分にあるでしょう。医者にかかると「デルモベート軟膏」が処方されることも。こいつは超強力です。

上記の3本をジッパー付きの小袋に詰め(絆創膏や消毒薬も)、ベストのポケットに常備させるのがいつものスタイル。日中は、つい釣りに夢中になってしまいがちですが、時折、肌に目を配って虫さされをチェックすることが大切です。もっとも、経験則から言うと、釣りを終えてウェーダーを着替えるタイミングが一番リスキーでしょうか。素足にサンダルといった出で立ちで油断していると、夕刻を迎えて活性化しているブユが集団で襲いかかってきます。くれぐれもご注意を。

さてさて、昨夜の定例会の結果、週末はどうやらブユの生息地への釣行が濃厚になってきました。ここ数日の大雨で魚たちがシャッフルされ、実績あるポイントに新顔がやってきているのでは!?──頭の中で甘い期待が大きく膨らんでおります。意気消沈して自身が格好の餌食となり、足首が大きく膨らんでいる…。そんな“ブユ~伝”だけは避けなければ。

ブユ対策グッズとして欠かせないハッカスプレーにポイズンリムーバー、そしてムヒアルファEX

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