ここは鶴川の中流域。ウェイトを多めに巻いたニンフを沈め、底近くの穏やかな流れに漂わせます。しばしすると、コイル状の巻き癖が残るテンカララインの先が不自然に引かれました。──来た! あおった竿に確かな魚信が。
背に回した左手で鹿角グリップを握り、ランディングネットは準備完了。深みからゆっくりと姿を現した魚は、水面近くで激しく体をくねらせます。雲に遮られることなく真っ直ぐに降り注ぐ春の陽に照らされて、白いお腹が艶めかしく光りました。
とまあ、叙景的な表現になってしまうほど嬉しい1匹でした。下ろしたての自作ランディングネットに初めて収まったのは、24cmのぷくっとしたヤマメ。幸先よろし。50mほど下流にいたヒレピン子の傍までわざわざ駆け寄って、“ニコパチ”までおねだりしちゃいましたよ。
とはいえ、この日の鶴川できちんと釣れたのはこれだけ(バラシは他に2度ほど)。前回とほぼ同じ場所を巡ったのですが、魚の反応はずいぶん減った気がします。賢くなってしまったのか、釣りきられてしまったのか…。
出だしの1時間ほどはフライを試みたものの早々に見切りをつけて、テンカラ頼み。ニンフの底釣りでは、竿が長い方がやりやすいし、なんだかんだ相性がいいんですよね。たまたま出会ったルアーマン氏が過去の実績ポイントを教えてくれたんで、そこを素直に探った結果、貴重な1匹に出会うことができました。
東京からの日帰り圏内、水が温んで魚が活発にエサを追うようになるのは、もう少し先のことかな。4月になったら、徐々にドライフライを試してみようと思います。