竹のグリップ材ができあがったので、フレームの取り付けに進みます。でもって、今回は、「内張り」にチャレンジすることにしました。
フレームは、1.5〜2ミリ厚の材を数枚張り重ね、それをグリップの左右に接着するのが一般的なスタイル。それに加え、内周にぐるりと1枚貼り足すのが内張りってやつですね。フレームを主体に考えるなら、Y字の形をしたグリップの側面と基部(頭部分)に分岐する構造にして全体の接着強度を高める細工と見ることもできるでしょうか。
手元にあるフレーム材は、TROUT FESTAに出かけた際にT-Craftさんのブースで調達した、トチ(2枚)、ウォルナット(1枚)、サクラ(1枚)です。渓流域を対象にした径の小さなネットに仕上げたいので、バランス的には3層で十分かな。ということで、トチとウォルナット各1枚を外側にまわし、サクラを内張りに充てることにしました。
まずは外側2層の張り付けからスタートです。型枠に沿わせてあらかじめ曲げ癖をつけておいた形を維持しながらエポキシでがっちりと接着。固まったなら、グリップ基部を内周のカーブに合わせて整形します。ジグソーや軸付サンダーといった工具を使って、慎重かつ丁寧に。
サクラの内張りに取り掛かる前に、グリップ基部に短めのウォルナットを張ることにしました。仕上がりをイメージした時、サイドと同様に色が濃い材が入っていた方が落ち着きがよいような気がしたからです。エポキシで接着後、フレーム2層目のウォルナットと自然につながるように整形します。
さて、これから内張りの本作業です。サクラを熱湯に浸して内周の形にぴったり合うように曲げていきます。ここで折ってしまっては元も子もないので、焦らずゆっくりと。外側2層のフレーム材の接着を終えた実物の内側にはめ込んで形を整えます。
内張りでは、材の両端が出会う箇所でできるだけシームレスに見えるように接合するのがポイント。Rがきつい部分では無理がかかるように思ったので、サイドで接合することにしました。両端が15mmほど重なる長さでカットし、それぞれくさび状の形に削って、ぴったり合わさるように細工しておきます。後でサンダーで仕上げるので、最初から精度を求める必要はありません。ここまで来たら、クランプやハタガネで固定してしばし放置し、サクラの曲げグセが落ち着くのを待ちます。
次は、いよいよ接着作業。サクラの外側にエポキシを満遍なく塗り、あらためて開口部に収めます。端材をかませて、先と同様にクランプやハタガネでがっちりと挟み込みます。両端の接合部分は、密着具合を特に注視しなければなりませんが、ここだけ力を加えてはいびつになるので、全体を平均的に圧着させるように気を配る必要があります。固定を終えたら、1〜2日ほど硬化するのを待ちましょう。
──どうやら接着できたようです。クランプ等を外すと、本体のお目見え。この段階ではエポキシが横からはみ出していたりして見栄えがよくありあせんが、ベルトサンダーや軸付サンダーで各所を整えれば、それなりの仕上がりになりました。心配していたサクラの接合部分もそれほど目立たないようです。ふぅ。これでランディングネットの基本形が完成。この先、全体の削り込みや、ネットを取り付けるための溝切り&穴あけなどの作業がありますが、本日はここまでとします。