風の谷にて:午後の部

4月16日、ランチを挟んで再び丹波川に入渓したのは15時でした。納竿&集合までの2時間半、午後の部のスタートです。昼前に比べると、風は幾分やわらいだとはいえ、それでも時折、水面を波立たせるほどの突風が吹き付けます。

メイフライの類が随分と羽化しているようなので、水面に関心を示す魚が少しくらいいてもいいんじゃない? 淡い期待を寄せながら、ドライフライを結んでみました。まずはごく普通のパラシュートパターンの16番から。しばらくは小さな落ち込みと淵が連続するようなので、流心の向こう脇の緩流帯を1つのターゲットにしてみます。

この時、風は下流から上流方向に抜けていました。アップクロスで軽くキャストしたつもりでも完全にターンオーバーしてしまい、ティペットが伸びきった状態で着水します。すると、すぐに手前の速い流れにラインが持っていかれてフライが不自然に加速し、やがて水中に引きずり込まれます。これじゃダメだよなぁ。なるべくティペット部をごちゃっと固めた状態で落として、伸びきるまでの時間を稼ごうと思うのですが、頭で描くイメージと実際の結果は雲泥の差。難しいっすよ。

希にターンオーバーさせずにフライを着水させることができるのですが、その後にナチュラルドリフトを維持するのも至難の業。ドラグを避ける形にラインを置き直す、いわゆるメンディング操作が必須になるわけですが、これまたタイミングが難しい。例えば、ロールキャストの要領でラインを上流側に再配置しようとしても、未熟な腕ではフライを強引に引っ張ってしまいます。結果、フライは水面をツツーと不自然に動くことに…。一連の動作に瞬発性がないこと、ラインが水面に着き過ぎていること、タイミングが遅すぎることなどが原因だとは思うのですが、思ったように体は動きません。

こんな雑なプレゼンテーションでも、一度だけバシャっと出てくれた魚がいました。フライをくわえる前にこちらが取り上げてしまった格好で、フッキングには至りませんでしたけど。その後、しばし時間を空けたりフライパターンを変えたりと、同じ場所で粘ってみましたが、やはり派手な出方をさせてしまった後は続きませんでした。きっと「練習を積んで出直してこい」というメッセージだったんでしょう。分かりました。出直してきます。午後は結局、1匹も釣り上げることができませんでした。

GR DIGITAL IIにND400を装着したところ

ドライの壁をあらためて感じながら、気分転換に川の写真も撮ってみました。昨シーズンに入手したものの、まだ一度も使っていなかった減光フィルターを試してみたかったのです。Kenkoの「ND400」というのがそれで、名前から推察できるように光量を400分の1に減らすことができます。カメラに濃いサングラスをかけるようなもので、屋外でもスローシャッターを切れちゃうのですよ。

リコーのGR DIGITAL IIには、フィルタなどを取り付けるためのアダプタ(GH-1)があります。私のND400は口径52mmなので、間に37mm→52mmのステップアップリングをかませました。後は、いつもベストのポケットに入れてある小型三脚「UltraPod mini」を装着すれば準備完了。安定しそうな岩を見つけてカメラを置き、アングルを決めます。絞り優先モードでF6.2とし、シャッターを半押しで自動測光すると適正露光時間は1秒の表示でした。こんなもんかな。指で直接シャッターを切るとカメラぶれを起こしそうなので、2秒のセルフタイマーをセット。これで、カメラから手を離した状態で撮影することができます。

露光1秒のスローシャッターでの描写

何カットかの撮影を完了。その場でデジカメの液晶画面で見る限りはまあまあかなと思ったのですが、後からPCのディスプレイで確認してみるとイマイチな仕上がりでした。水平がとれていなかったり、ISO感度設定が高かったり、そもそもの構図が甘かったり…。本人としては、もうちょっと幻想的で水面が絹のような描写をイメージしていたのですが、そう簡単にはいきません。こちらも、まだまだ研究が必要なようです。(by ドングリ)

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